よくあるご質問
法令が改正された場合、記述時点と内容に差異が生じます。最終的なご判断は個別にお問い合わせをお願いいたします。
駐在員事務所の存続期間は通常3年に制限され、情報収集のみで営業活動が出来ません。営業活動をしたい場合、支店か現地法人の選択になります。支店の場合は日本本社の一部とみなされ、日本で合算課税されるため日本本社に黒字がある場合、支店の赤字と相殺が可能である一方、シンガポールの低税率のメリットが受けられません。また法的リスクも本社に帰属することになります。逆に現地法人の場合には本社黒字との相殺は出来ませんが、シンガポールの低税率のメリットを享受することが出来ます。実務上最も多く選択されているのは現地法人になります。
シンガポールへの主な進出形態には、駐在員事務所、支店及び現地法人が挙げられます。実務上、最も多く選択されるのは、現地法人です。駐在員事務所もしくは支店を選択する理由がない限りにおいては、現地法人を選ぶと考えて良いでしょう。
銀行等を除いては駐在員事務所の形態をとることは少なくなっています(銀行の場合、駐在員事務所を長期開設することが可能ですが、これは事業会社とは異なり、MAS(シンガポール金融監督庁)の管轄となっているためです)。
建設会社、金融機関、商社など、日本の親会社を主体とした方が有利と判断される場合には、支店形態を選択する場合があります。
現地法人にも何種類かありますが、シンガポールに進出する日系企業で最も一般的なのは非公開会社(Private Company Limited by Shares)になります。さらにその中で一定の基準を満たす場合には免除非公開会社 (Exempt Private Company Limited by Shares)となり、一定のコンプライアンス免除が認められています。
シンガポールで設立される株式会社は公開会社と非公開会社に分けられます。非公開会社のうち一定の基準を満たす場合には、免除非公開会社となります。会計企業規制庁のWEBページ
18歳未満の未成年者は実質上会社の株主になることが出来ませんが、信託設定することにより受益者となることは可能です。
シンガポールの会社法(Companies Act)では、最低1名以上の株主が必要であるとのみ定められています(Companies Act 第20A条)。よって株主は個人でも法人でも可能であり年齢や国籍及び居住地の制限はありません。一方で、民事法(Civil Law Act)では、18歳に達した者が締結した契約は成人が行ったものと同じ効力を持つ、としています(Civil Law Act 第35条(1))。したがって18歳未満の個人は実質上株主になることは出来ません。一方、信託設定をすることで18歳未満の未成年を受益者とすることは可能であり(受益者:未成年者、信託財産:株式)、幣事務所では弁護士事務所と連携を取りながら対応致します。
シンガポール政府は海外企業が進出しやすいビジネスインフラの整備を行っていますので、外国人であっても法人の設立は容易です。設立にあたっては、要件がいくつかあるものの(居住取締役、秘書役、登記住所等)、会計事務所等が提供するサービスを利用して、それらの要件を満たすことが一般的です。シンガポールに来訪せずとも法人設立は可能ですが、銀行口座開設にあたっては、当地にて銀行担当者との面接が必要になります。
各要件の詳細について下記に解説しております。
シンガポールの会社法では、法人には最低1名以上の取締役(Director)が必要とされていますが、18歳以上の法的能力を持つ成人であれば国籍や居住地に関係なく取締役に就任することが出来ます。ただし、取締役のうち1名は居住取締役(シンガポールに在住の取締役)であることが求められます。日本からの進出に際しては、会社設立時点では取締役がシンガポールに居住しておらず、さらには居住取締役をご自身のネットワークより用意することが出来ないケースが大半となっています。その場合には、名義貸し取締役(ノミニーダイレクター)サービスをご利用頂くことが一般的です。
会社秘書役(Company Secretary, カンパニーセクレタリー)とは、登記簿、定款、及び各種法定書類(取締役会議事録、株主総会議事録等)の作成、提出及び保管等を行います。会社法上は、設立後6か月以内に任命する必要があるとされていますが、実務上では、設立手続きを秘書役が担うため、ほとんどの場合、設立と同時に選任されます。
シンガポールでは会社設立の際に、住所を登記する必要があります。一方で、法人設立後でないと、オフィスの賃貸借契約を締結すること自体が困難になっています。したがって、実務的には、設立時点では会計事務所や会社設立代行会社等の住所を借りて登記を行うことが一般的です。オフィス住所決定後には簡単な手続きで登記変更が可能ですし、法人設立後でもあっても、オフィスを構える必要がないと判断される間は、引き続き住所貸しサービスを受けるとも可能です。
取締役宣誓書(Form45)(設問⑨をご参照)の公証手続き(日本の場合、公証人役場にて)をして頂ければ、シンガポールにいらしていただかなくても、法人設立は可能です。一方、銀行開設の際には、来星が必要となりますが、新型コロナウィルス感染拡大による渡航制限中は別対応が可能な場合もあります。
シンガポールの会社法では、取締役のうち1名はシンガポールに居住している必要があります(居住取締役)。そのような取締役が不在の場合、意思決定を行わない名義貸し取締役のサービスを受けることが一般的です。会社設立及び就労ビザ取得を通じて、シンガポールに移住した後は、ご自身が居住取締役となり、同サービスを解約することが可能です。
シンガポールの会社法では、法人は最低1名以上の取締役(Director)が必要であり、そのうちの1名は居住取締役(シンガポールに在住の取締役)であることが求められます。例えば、取締役に就任予定の方が、既に永住権(Permanent Resident、PR)をお持ちでシンガポール在住であれば、日本人であっても居住取締役の資格を満たすことになります。また、ご自身がシンガポール国外在住であっても、設立予定の会社関係者等に居住取締役をお願いするケースもあります。ただし、新規に会社を設立する際には居住取締役を用意出来ないケースがほとんどであり、その場合、ご利用頂けるのが、名義貸し取締役(ノミニーダイレクター)のサービスになります。
名義貸し取締役(ノミニーダイレクター)とは、意思決定を行わない名目上の取締役のことです。法人としての要件を満たすために、名義貸し取締役を利用することがシンガポールでは一般的となっています。名義貸しとは言え、法律上は取締役であり、法的な権限と責任が発生することから、トラブルを避けるために信頼のおける人物に依頼することをおすすめします(ただし、弊事務所のノミニーダイレクターに関しては、その法人に対して発生するトラブルに関しては一切責任を負いません事、予めご了承ください)。弊事務所ではシンガポール在住の永住権保有の日本人を名義貸し取締役としてご紹介しており、これまで多くの実績がありますが、トラブルやクレームになったことはございません。
会社設立後、就労ビザ(Employment Pass, EP)取得をして、シンガポールに移住した後は、ご自身が居住取締役としての要件を満たすことになりますので、名義貸し取締役のサービスは解約していただけます。弊事務所では、年単位だけでなく月単位でもサービスをご利用いただけます。
会社秘書役(Company Secretary, カンパニーセクレタリー)とは、登記簿、定款、及び各種法定書類(取締役会議事録、株主総会議事録等)の作成、提出及び保管等を行います。会社法上は、設立後6か月以内に任命する必要があるとされていますが、設立手続きを秘書役が担うため、実務上では設立と同時に選任されることが一般的です。
公開会社(設問②をご参照)でない場合は、秘書役は18歳以上のシンガポール居住の自然人であれば誰でも就任することが出来ます(公開会社の秘書役は、弁護士、公認会計士、公認セクレタリー等に限定されています)。取締役が複数名いる場合には、うち1名が秘書役を兼務することも可能です。しかしながら、会社法に則って各種書類の作成、提出及び保管を行うという業務を考えた場合、外部の専門家に依頼することが一般的です。会社法上は、設立後6か月以内に任命する必要があるとされていますが、設立関連の書類の作成や、登記も会社秘書役が行いますので、通常は設立と同時に任命することがほとんどです。
安価を売りにするローカルの会社秘書役会社も存在しますが、株主変更手続き、取締役変更手続きなど、会社の根幹に関わる決議事項、登録内容を保管するのも会社秘書役となりますので、会社法に精通した、専門的知識と経験を有した会社秘書役のご利用をお勧め致します。また、会社運営においては、秘書役に相談する機会も少なくありませんので、言語面で心配がある場合には、日本語対応出来る会社を選択することも出来ます。
シンガポールでは、会社設立時に登録住所を登記する必要があり、会社設立後は、政府監督官庁からの通知が登録住所に届きます。オフィスの契約を結ぶ前の会社設立時においては、住所貸しサービスを受けることが一般的です。
シンガポールでは、会社設立登記に際して、登録住所が必要です。ただし、会社設立後でないとオフィス賃貸にあたって法人契約が結べないことから、住所貸しのサービスを受けて、一時的に住所を借りるケースが大半です。住所決定後に変更手続きをすることが出来ます。将来的にも、オフィスを構える必要がないと判断される場合においては、設立後も引き続き、住所貸しサービスを受けることも一般的です。
弊事務所でも月単位もしくは年単位での住所貸しを行っております。弊事務所はシンガポール大手不動産会社、City Developments Limited(通称CDL)が所有するビルに入居しております。CDL社とは、住所貸しサービス提供について、契約書を通して正式に許諾を受けておりますので、法的に安定した住所貸しサービスを提供しております(シンガポールでは無許諾での転貸や住所貸は違法です)。
法人登記住所は、政府監督官庁からの通知の送付先となっています。弊事務所の住所貸しサービスでは、受領した郵便物を保管し、さらに、スキャンデータをお客様との共有フォルダにアップデートする形で提供しておりますので、日本を含むシンガポール国外からでも、安心してビジネスを行って頂くことが出来ます。
また、個人のお客様でも住所貸しサービスをご利用頂くことが出来ます。ご自宅への郵送を避けたい銀行の取引明細の郵送先としてのご利用や、出張や帰任の際の郵便物管理のためにご利用頂くケースがございます。
自宅をオフィスとして、法人の登記住所とすることは可能です。ただし、賃貸住居の場合には事前に書面でオーナーの許諾を得た上で、監督当局に申請し、オフィスとしての使用許可を得る必要があります。
個人で事業を始める場合等、自宅をオフィスとして法人の登記住所とすることは可能です。ただし、事後のトラブルを避けるためにも以下をクリアする必要があります。
賃貸住居をオフィスとして使用して良い旨、事前にオーナーから書面にて承諾を得る必要があります。また、コンドミニアムの場合には、コンドミニアムとしての規則の中に、住居のオフィス利用を禁止する項目がない点を確認する必要があります。
URAはHome Office Schemeの中で、一定の条件を満たす小規模ビジネスの場合は、住居のオフィス利用を認めています。条件には以下が含まれます。
詳細については都市再開発庁のウェブサイトよりご確認ください。
なお、法人の登記住所は誰でも購入が可能なBizFile(登記簿)に記載される点にご留意ください。
必要な書類の準備及び署名が完了すれば、会社の設立登記は通常数時間あれば完了し、登記簿が電子的に発行されます。
会社設立の流れは以下の通りです。
※株主及び取締役の本人確認資料等
個人株主の場合 | 法人株主の場合 |
---|---|
パスポートの写し、 住所証明書類 |
親会社の履歴事項全部証明書英訳、 株主リスト(英文)、 親会社の株主(株式または議決権の25%以上を保有する個人)のパスポートコピー及び住所証明書類 |
(日本の住所証明としては銀行発行の英文住所証明書をご提出頂いております)
ACRA(シンガポール会計企業規制庁)のサイトよりオンライン申請。原則的に即日設立登記完了。
☆注意点☆登記自体はオンラインで通常数時間で完了しますが、必要書類をすべて英文で揃える必要がある点にご留意ください。英訳が必要な場合には、翻訳業者への委託を代行致します。また、取締役宣誓書(Form45)をシンガポール国外で署名頂く場合には、公証人役場にて公証されたもののみを受け付けています。
近年、シンガポールにおける銀行口座開設の審査は厳格化しており、今後もその傾向は続くと考えられます。弊事務所では、地場銀行の中のUOB銀行と数年にわたり良好な関係を築いており、スムーズな口座開設を実現しております。
シンガポールでビジネスを行うにあたって、銀行口座は必須ですが、近年、口座開設の審査が厳格化しています。これは、マネーロンダリングやテロ資金等に口座が利用されることを防ぐことに加え、法人税率が低いシンガポールに脱税目的の口座を開くことを未然に防ぐためであり、今後も、より一層厳しく審査されることが予想されます。また、審査にあたっては、銀行での署名権限者がシンガポールに来訪して、担当者と直接面接を行うことが必要になります(コロナによる渡航制限中の遠隔対応ついてはこちらをご参照)。
十分に事前準備をしたうえで、銀行審査の面接に臨むことが重要ですが、各行ともに明文化された審査基準を設けているわけではありません。弊事務所では、シンガポールのローカル銀行(設問⑫ご参照)のうちUOB銀行と数年にわたり良好な関係を築いており、必要書類や面接の流れがスムーズとなっております。また、銀行窓口に赴く必要がなく、弊事務所オフィスに銀行担当者が来訪の上、手続きをすることが可能です。さらに、面接時には、幣事務所スタッフが同席して、必要に応じて日英・英日の通訳を致しますので、言葉のストレスなく面接を受けて頂けます。
面接後、1〜3週間程度で口座開設の可否が確定し、無事に承認された場合には、オンラインバンキングの初期パスワード、ログインで使用するトークン、小切手帳が順次送付され、口座の使用が可能になります。
なお、UOB銀行以外のローカル銀行であるDBS銀行及びOCBC銀行の口座開設も承っておりますが、銀行の窓口に直接行き、受付番号を取って順番待ちをした上で、手続きをする必要があります。
シンガポールにはローカル銀行に加え、日系を含む外資系銀行が数多く進出していますが、利便性を考えると、まずローカル銀行に口座を持つことが一般的です。
ローカル銀行と日系銀行についてそれぞれ解説します。
シンガポール資本の商業銀行は3行あります(DBS銀行、UOB銀行、OCBC銀行)。日本人にとっては聞き慣れない銀行であり、ご不安を覚えるお客様もいらっしゃいますが、3行ともに、世界的に安全な銀行としての評価を得ています。米国の経済紙であるGlobal Financeが毎年発表している、世界で最も安全な銀行ランキングは、格付け会社3社(ムーディーズ、スタンダードプアーズ及びフィッチ)の格付けを点数化して、世界の資産総額上位500行をランキングしています。この中で、シンガポールの銀行は、DBS銀行(世界15位)、OCBC銀行(同16位)及びUOB銀行(同18位)となっており、これはそのままアジア地域のランキング上位1~3位となります。世界トップ50には韓国の銀行もランクインしていますが、日本の銀行は含まれていません。シンガポールは人口600万人に満たないことから、日本のメガバンクに比べて資産規模は小さいものの、安全度としてはより高い評価を得ているのです。
シンガポールに進出している日系銀行の場合、法人口座については、既に日本法人で取引がある場合には、口座開設が認められる場合もありますので、日本の銀行担当者に個別にご相談下さい。
シンガポールにはローカル銀行に加え、日系を含む外資系銀行が数多く進出しています。利便性を考えると、まずローカル銀行に口座を持つことが一般的です。また、店舗やATM数は少ないものの外資系銀行や、資産規模に応じては、銀行のプレミアム口座やプライベートバンクも選択肢になります。
以下にそれぞれの銀行について解説しています。
シンガポールのローカル銀行(DBS銀行、UOB銀行、OCBC銀行)は、日本人には馴染みのない銀行かと思いますが、世界的に安全な銀行としての評価を得ています(米国経済誌の発表した安全度ランキングで、DBS銀行(世界15位)、OCBC銀行(同16位)及びUOB銀行(同18位)。シンガポールでもキャッシュレス化が進んでおり、現金が必要なケースは大幅に減っていますが(新型コロナウィルス感染拡大後、小規模店舗でも電子決済を進めるよう補助金政策がとられています)、それでも店舗やATMが自宅や勤務先から近いことは銀行を選択する上での判断材料になります。また、各行ともに顧客獲得のための様々な金利優遇プログラムやキャンペーンがありますので、それらに応じて選ばれるのも良いでしょう。なお、以前は非居住者でも口座開設が可能でしたが、現在では長期滞在が可能なビザ(及びシンガポールの居住住所)がない場合には口座開設は著しく困難となっています。
日本のメガバンクは3行とも、シンガポール国内の金融街に大きな看板を出しています。そこで、日本に口座を持っていれば、シンガポールでもそのまま使えるのではないか、もしくは、口座が開けるのではないかと思われる方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、シンガポールの日系銀行には、原則的に一般のお客様の個人口座を開設することは出来ません。
シンガポールには、その低税率を求めて、世界中から富裕層が集まっており、富裕層向けの金融サービスも充実しています。資産規模に応じて以下のように分けられます。
プレミアムバンキングは銀行のVIP口座と言えます。最低預入金額は各行によってことなりますが、20万シンガポールドル程度(日本円で1,600万円程度)から口座を開くことが出来、優遇された金利が適用されます。また、一般口座では購入できない金融商品が購入出来るようになり、専用のラウンジ等のサービスを受けることが出来ます。
ローカル銀行(DBS銀行,OCBC銀行,UOB銀行)のプレミアムバンキングには、日本人担当者がおりませんので弊事務所にご依頼頂きましたら、通訳としてのアテンドも可能です。
プライベートバンクは資産額が一定以上の富裕層顧客向けに、総合的なサービスを提供する金融機関であり、口座開設にあたっては、各行それぞれ最低運用資産額を設定しています。この金額は上昇傾向にあり、5百万シンガポールドル(日本円で4億円程度)の設定が多くなっていますが、それ以下でも口座開設が可能な銀行もあります。顧客ごとに担当者がつき、資産の管理・保全・運用を総合的に行います。日本では購入が出来ない債券や保険、またレバレッジ運用も積極的に行います。さらには、教育や相続等も含めて、顧客及びその家族を総合的にサポートします。
プライベートバンクの日本人担当者のご紹介が可能ですのでお気軽にお問い合わせください。
ご参考(以下は弊事務所調べの参考情報になります)
銀行名 | 口座開設のための最低運用資産額 | マージン借入※1 | 生命保険へのローン※2 |
---|---|---|---|
UOB | SGD3百万 | ○ | ○ |
DBS | SGD5百万 | × | ○ |
UBS | USD5百万 | ○ | ○ |
ジュリアスベア | USD5百万 | ○ | ○ |
Bank of Singapore | SGD3百万 | ○ | ○ |
LGT | USD2百万 | ○ | ○ |
Daiwa Singapore | USD2百万 | ○ | × |
※1:マージン口座での借入によるレバレッジ運用を最低運用資産額に含めることが可能か
※2:保険証券を担保とした銀行からのローンによる生命保険の購入が可能であるか
目次
日本国籍を保有している場合、観光や商用目的の短期滞在の場合、ビザ申請は不要であり、入国時に30日間(陸路で入国する場合には14日間)のビザが自動的に付与されます(ただし、パスポートの残存有効期間はシンガポール入国時より滞在予定日数+6ヶ月以上必要です)。また、オンラインでICA(Immigration & Checkpoints Authority、入国管理局)に申請することによって、最大89日間まで延長が可能になります。詳細については入国管理局のWEBサイトにてご確認ください。
89日を超えてシンガポールに滞在したい場合には、ビザ申請が必要になります。主なビザの種類は以下の通りです。
シンガポールで就労を希望するすべての外国人は、就労可能なビザを取得する必要があります。日本人の場合、大半はEmployment PassもしくはS-Passを取得することになります。
給与額が一定以上の、一般的には専門職や管理職に就く人物を対象とした就労ビザになります。就労を希望する者の属性(年齢、学歴、職歴、給与額等)及び雇用する側の企業の属性(資本金額、業績、シンガポール人の雇用実績等)が審査されて、ビザ発給の可否が決定されます。
同じく就労ビザであり、日本人にも多く発行されています。EPに比べて、最低給与基準が低くなっていますが、就労を希望する者がその年齢や経験に応じた給与を得ているか、という観点からも審査されるため、給与が基準を超えているからと言って必ずしも取得出来るわけではありません。また、雇用する会社側がSパスの発給枠を持っていることが必要条件となる点に注意が必要です。
シンガポール政府が認定する教育機関でフルタイムでの就学が決まっている場合、申請が可能です。教育機関には、未就学児が通うChild Care Centreや、日本人小学校及びインターナショナルスクール等も含まれます。通学予定である教育機関が政府に認定された機関であり、学生ビザ取得可能であることの確認が必要になります。また、条件を満たす場合には、学生ビザ保持者も一定の就労は可能です。
下記のいずれかに該当する場合、申請が可能です。
EP保持者の帯同でシンガポールに移住した後、家族のうち母子のみが単独でシンガポールに残る場合や、母子留学の場合等には、母親→長期滞在ビザ、子供→学生ビザとしてシンガポールでの滞在が可能です。また、給与の条件を満たす場合、EP保持者の両親も長期滞在ビザの取得が可能です。
就労ビザ(EPもしくはSパス)保持者の配偶者及び21歳以下の未婚の法律上の子供に対して発給されるビザになります。このビザのみではシンガポールでの就労は出来ませんが、EPの配偶者の場合、MOMからLOC(Letter of Consent)の発給を受けることで、シンガポールにおいて就労することが可能です(フルタイム、パートタイムともに可)。
※2021年5月1日以降、新規のLOCが発給されなくなるとシンガポール政府から発表がありました。詳細は、2021年5月1日に発表されるとのことです。
日本人がシンガポールで就労する場合、大半はEPもしくはSパスを取得することになります。このうちEPは給与額が一定以上の、一般的には専門職や管理職に就く人物を対象とした就労ビザになります。
MOM(シンガポール人材開発省)のウェブサイトによるとEPの申請条件は以下の通りです。
EP取得の条件や審査についての詳細は設問③と設問④をご参照ください。
一方、Sパスは最低月額給与の条件が緩やかになっています(SGD2,400以上。2020年10月1日以降新規申請の場合は、SGD2,500以上)。EPの取得が難しくなっている中、Sパスを使っての外国人雇用を希望するケースが増えており、日本人も多くSパスを取得しています。ただし、Sパスは、各企業に付与される「外国人従業員採用可能枠(Quota)」の範囲を超えて発給を受けることが出来ません。この枠は、その企業が雇用する従業員のうちシンガポール人及び永住権(PR)保持者の数に応じて付与されます(シンガポール人及びPRを多く雇用している場合は、Sパス発給枠が増えることになります)。つまり、すでに従業員を雇用している企業が対象となるビザになりますので、設立したばかりの新設法人やシンガポール人もしくはPRを雇用していない企業の場合は申請することはできません。
EPの取得は年々難しくなっていると言えます。これは、経済成長が頭打ちになっている中、外国人労働者がシンガポール人の雇用機会を損なっているではないかとの国民からの不安があることや、節税目的で実態のない会社をシンガポールに設立して移住するケースが増えていることが背景となっています。さらに、コロナウィルスの感染拡大に伴い、世界的に経済が打撃を受ける中、自国民の雇用を守るという明確な方針の下、シンガポール政府はEP発給の厳格化を発表しています(2020年8月)。
発表の概要は以下の通りです。
2020年9月1日以降の新規申請の場合には、SGD4,500に引き上げられ、さらに、金融セクターについては10月1日よりSGD5,000に引き上げられます(更新申請には、2021年5月1日より適用)。また、業務経験を積んだ40代のEP申請者については、上記最低額の2倍程度の給与を受け取る必要があると明示しています。
これまでも、最低月額固定給与額は数年単位で引き上げられてきました(最近では、2017年1月1日より3,300ドル→3,600ドル、2020年5月1日より3,600ドル→3,900ドルに引き上げが実施されています)。ただし、上記の通り、2020年にはわずか数か月をおいて2回目の引き上げが実施されることになっており、これはシンガポール政府の外国人労働者に対する方針が示されていると考えられます。今後ビザの発給状況については注視が必要です。
EP申請の際に条件となっていた(除外規定あり)MyCareersFuture.sgへ募集広告の掲載期間も、これまでの14日間から28日間に延長されることになりました。
ビザの発給に際しては、就労を希望する者の属性(年齢、学歴、職歴、給与額等)及び雇用する企業の属性(資本金額、業績やシンガポール人の雇用実績)が審査されます。
個人の属性で最も重要なのは、月額固定給与です。引き上げが続く最低給与額ではありますが(設問3ご参照)、この給与水準を超えるからと言って承認がおりるわけではありません。給与は年齢や職務経験に見合っていることが必要とされています。つまり、年齢が上がった場合や、職務経験が豊富である場合、それ相応の給与を得て然るべきであると判断されます。一方、年齢が若く、学歴が良い場合ほど、低い設定の給与でもEPが承認されます。また、家族を帯同したい場合には、さらに求められる最低月額固定給与が上がります。
学歴については、学位の有無だけではなく、どの大学から学位をえているかという点が重視されます。MOM(シンガポール人材開発省)のウェブサイトでは a good university degreeと記載されているのみであり、具体的な大学名や資格が明記されているわけではありません。ただし、シンガポールでは、ワーキングホリデーの対象を世界の大学ランキング上位200校に限定していた時期があることに象徴されるように(現在では、この基準は撤廃されています)、学歴が重視されています。よって、世界の有名大学出身の場合は選考で有利と言えます。一方、大学卒業以上の学歴がない場合、EP取得は困難になると言わざるを得ませんが、すでにビジネスで成功をおさめている場合等には、学位がなくともEPが取得出来る場合があります。この場合は、職務経験がより重視されることになります。
このように、個人の属性の審査に対する明確な基準ははっきりと示されてはいませんが、MOMはSAT(セルフアセスメントツール)を公開しており、自分の属性でビザ取得の可能性があるかどうかを事前に確認することが出来ます。また、実際にEPを申請する際には、SATにて申請可能条件(最低給与)を満たしているかを事前確認することが必須となっております。SATについては設問⑤をご参照ください。
資本金については、明確な基準が示されているわけではありませんが、弊事務所では、過去の経験より、最低でも1年分の給与(月額固定給与×12)以上あることが望ましいとご案内させて頂いております(EP申請後にMOMから追加書類として銀行の明細を求められる場合がありますので、通常は、資本金の入金後にEPを申請します)。新規設立の会社では注意が必要になります。
また、シンガポール人の雇用実績や雇用見込みも重視されています。シンガポール政府はシンガポール人の雇用や育成に力を入れていない企業をリストアップしており(「ウォッチリスト」と呼ばれています)、コロナウィルスの影響で労働環境が悪化する中、2020年8月にさらに47社を追加しました(合計1,247社)。このウォッチリストに掲載されるとEPの申請や更新が困難になります。日本の上場企業の中でも、ウォッチリストに掲載されたことで、日本からの派遣駐在員のEP申請が難航したケースがあります。
SATとはSelf-Assessment Toolの略であり、EP及びSパス発給可能性があるかを事前に確認できる簡易ツールになります。MOM(シンガポール人材開発省)がウェブサイトで公開しており、無料で使用することが出来ます。このツールでは、自分の役職、年齢、学歴、職歴及び月給を入力することで、EP及びSパス発給可能性が示されます。給与額を想定で入力してみることで、EPとSパスそれぞれの発給が可能となる最低給与額を把握することが出来ます。また、実際にEP申請を行う前に、SATで取得の可能性があることを事前に確認することが求められています。ただし、SATではあくまでも発給の可能性がある最低ラインを超えているかを確認出来るのみであり、実際に承認が下りるという保証にはなりません。(SATリンク)
入力が求められるのは
以上を入力すると、簡易審査結果として、「EP」「Sパス」「応募資格なし」の結果が表示されます。(EP応募資格ありと出た場合には、Sパスにも応募が可能(会社側に枠がある場合))
シンガポールでは、国民の雇用促進策の一環として、労働機会を公平に提供することを目的として、2014年8月より企業に対して、EP申請前に、JobsBank(現在のMyCareersFuture.sg)に求人広告を14日間上掲載することを義務付けました。さらに、コロナウィルスによる労働市場悪化の中、自国民の雇用を守るためのEP申請厳格化の方針により、掲載期間が28日に延長されるとともに、EP申請時だけでなく、Sパス申請時にも掲載が義務付けられることになりました。
MyCareersFuture.sg (旧JobsBank)は、政府が運営する無料の求人広告サイトであり、このサイトを通じて応募できるのはシンガポール人及び永住権保持者のみになります。広告を掲載する際には、EP申請予定者と同じ条件(給与、役職、職務内容等)とする必要があります。また、従業員の国籍、年齢、人種、宗教、性別等に関する希望を記載しないように求められています。
ただし、以下の場合には求人広告掲載は免除されます。
上記条件を満たし、広告掲載が免除される場合であっても、EP承認の可能性をより高めるために、掲載を行うことも選択肢となります。
EP申請は、雇用主である企業、またはそれに代わる代理エージェントがオンラインにて申請する必要があります。MOM(人材開発庁)関連の各種申請は今後 myMOM Portal という専用サイトで一括して行われる予定であり、EPの新規申請については、myMOM Portalの運用が既に始まっています。
EPの場合、初回申請時は最長2年間、延長時には最長3年間が有効期限となります。更新申請は、初回申請時と同様にオンラインで行います。政府側から何も質問がなく、すんなり申請が通ることもありますが、追加質問を受ける場合もあります。質問が来た場合には、MOMからの承認を得やすいよう、的確に慎重に回答することが重要です。
EPは期限到来毎に更新する必要があり(更新出来るのは有効期限終了の6か月前より)、確実に更新されるという保証はありません。更新の可能性を高めるためには、会社の業績に加え、昇給や積極的なローカル社員(シンガポール人もしくは永住権(PR)保持者))の雇用(CPFの積立)が重要になります。
EPが取得出来た場合、家族がDPもしくはLTVPを取得することでシンガポールに帯同することが出来ます。ただし、家族を帯同したい場合には、就労ビザの最低月額固定給与が上がります。
DP申請にあったては、学歴・職歴は問われず、基本的には問題なく取得可能です。シンガポール政府に提出する書類はパスポートコピーに加えて、配偶者の場合は婚姻証明書、子供の場合は出生証明となっています。両証明書ともに英文で提出する必要があります(戸籍謄本原本を用意すれば、在シンガポール日本大使館に英訳を依頼出来ます。また、日本大使館への依頼は代理申請も可能です)。また、2019年2月より、12歳以下の子供に対してはワクチン接種証明書の提出が義務付けられ、承認に時間を要する点に注意が必要です(設問10ご参照)。
また、DPはあくまでもメインパス(EPもしくはSパス)に紐づいたビザであるため、たとえ有効期間内であっても、メインパスが失効・キャンセルになった場合はDPも直ちに失効してしまいます。家族のうちEP保持者が日本に戻ることになり、ビザをキャンセルした場合には、DP保持者であるご家族が合法的にシンガポールに滞在するためには、別のビザを取得する必要があります(例:お子様の学生ビザ及びそれに紐づくLTVP)。
DP取得にあたって、シンガポール政府に提出する書類はパスポートコピーに加えて、配偶者の場合は婚姻証明書、子供の場合は出生証明となっています。両証明書ともに英文で提出する必要があります(戸籍謄本原本を用意すれば、在シンガポール日本大使館に英訳を依頼出来ます。日本大使館への依頼は代理申請も可能です)。また、2019年2月より、12歳以下の子供に対してはワクチン接種証明書の提出が義務付けられています。英文の接種記録を提出し、証明書が発行されるまでに、時期によっては3か月程度の期間を要し、その間はビザの申請が出来ない点に注意が必要です。子供の入学進学のタイミングに間に合わないという事態を避けるためにも、余裕をもって準備することが望ましいです。シンガポール政府が確認するのは、子供が月齢・年齢相当のジフテリア、麻しんの予防接種を受けているか否かですが、シンガポールと日本では接種のスケジュールが異なり、接種記録提出前に追加接種が必要な場合もあります。この点からも、EP申請が決まった段階で速やかに準備を始めると良いでしょう。
12歳以下の子供の場合、DPだけでなく、長期滞在ビザ(Long Term Visit Pass)、学生ビザ(Student’s Pass)を取得しようとする場合にも、ワクチン接種証明書の提出が必要になります。
ワクチン接種証明書の取得の流れは以下の通りです。
シンガポールは配偶者の就労に大きく門戸を開いている国と言えます。EP の配偶者として、DPを保持している場合、事前にMOMからLOC(Letter of Consent)の発給を受けることで、シンガポールにおいて就労することが可能です(フルタイム、パートタイムともに可)。LOCには、最低給与額や採用可能枠の設定はありませんので、基本的に問題なく発給を受けることが可能です。EP取得のハードルが上がっている中、雇用主側としてもDP保持者は雇用しやすいため、駐在員の配偶者がLOCを取得して、就労するケースは多くみられます。ただし、駐在員の場合、会社側にて配偶者の就労を禁止する場合や、給与の制限設けている場合もあります。手当や保険にもかかわってくるため、事前確認が必要です。
メインパス(EPもしくはSパス)が失効すると、それに紐づくDPも同時に失効しますので、ご家族はビザなしの状態になり、合法的にシンガポールに長期滞在するためには、別のビザを取得する必要があります。考えられる方法としては、お子様が学生ビザを取得し、その母親(父親は該当しません)がLTVPを取得する方法があります。この際のLTVPはあくまでも「学生ビザ保持者の母親」に付与されるものですので、先にお子様のビザを取得する必要があります。
お子様が通う予定、もしくは既に通われている学校に依頼をすると、学校側で学生ビザ申請手続きを行ってくれます。学校側の申請後には、家族側にて、ICA(入国移民局)のサイトにログインし、追加の必要情報(DPの有効期限、宗教等)を入力します。その際には、学校側が行った申請の申請番号が必要となります。さらに、学生ビザを取得するお子様本人の写真(ソフトコピー)をアップロードし、申請料SGD30を支払うことで申請は終了となります。申請にあたっては、Birth Certificateの番号が求められますが、日本で生まれている場合には、番号はありませんので「NIL」を選択して問題ありません。
申請後、通常5~10営業日程度で許可が下ります。次に、学生ビザのカード受取が必要になりますので、ICAのサイトより訪問の予約をします。受け取りの際には、必要書類を持って、お子様本人が出向く必要があります。必要書類については、許可書(In-Principle Approval Letter)に記載されており、個々人のケースによって異なる場合もありますので、良くご確認下さい。
学生ビザを保持するお子様の母親としてのLTVPの取得の場合、まず、お子様が学生ビザを取得する必要があります(お子様の学生ビザ申請と母親のLTVP申請を同時に進めることは出来ません)。お子様の学生ビザ取得後、母親のDPをキャンセルすると、DPキャンセルレターが発行されますので、これを取得して初めてLTVPの申請が可能となります。ほかに必要な書類は、母親本人の英文婚姻証明書(戸籍謄本の英訳。在シンガポール日本大使館に依頼可能)、パスポート、顔写真、さらにお子様関連の書類として、お出生証明書、パスポート及び学生ビザとなります。
LTVPについて留意しなければならないのは、取得にあたり、シンガポール人もしくは永住権(PR)保持者がスポンサーとなる必要がある点です。ICA(入国移民局)のサイトから行う申請についても、LTVP取得者本人ではなく、スポンサーとなる人物が行います。
シンガポールで設立した会社で社員を雇用する場合、シンガポール人もしくは永住権(PR)保持者を雇用するのであれば、ビザの追加申請は不要です。一方、シンガポール人もしくは永住権保持者の従業員に対しては、フルタイム・パートタイムを問わず、シンガポールの年金制度であるCPF(Central Provident Fund)への積み立てが必要です(雇用主負担:給与の17%、被雇用者負担:給与の20%)。外国人を雇用する場合には、パートタイム勤務であっても、必ず就労ビザ(EPやSパス)もしくはLOC(DP保持者の場合)を取得する必要があります。
シンガポール法人が従業員を雇用する場合には、毎月政府に積み立てるべき徴収金があります(SDL)。さらに、シンガポール人もしくは永住権保持者を雇用している場合には、シンガポールにおける年金に相当するCPFの積み立てが必要になります。SDLについては設問2、CPFについては(設問③)をご参照ください。 また、シンガポールではAWSと呼ばれる、年間で13か月分の給与の保証も一般的ですが、これは義務でありません(設問④)。
賃金の支払に際しては、給与支払日から3営業日以内にPayslipを従業員に交付することが雇用主に義務付けられています(設問⑤)。さらに、毎年3月1日までに前年度に従業員に対して支払った金額を記載したフォーム(IR8A)を従業員に対して交付する必要があります(設問⑥)。シンガポールでは日本のような源泉徴収はなく、従業員はIR8Aに基づき個人所得税の申告を行います(設問⑦)。
従業員数を増やしたい場合、外国人を雇用する際には、それがパートタイムや期間を限定した雇用であったとしても、就労可能なビザを取得する必要があります(「ビザ取得編」をご参照ください)。ただし、学生ビザ保持者は一定の条件を満たす場合には就労が可能となっています。詳細は、(設問⑧)〜(設問⑨)をご参照ください。
一方、取締役であるご自身が別会社での取締役兼務を希望する場合には、MOMより事前承認を得る必要があるため注意が必要です(設問10)。
SDL(Skills Development Levy)とは、シンガポールで就労する人の技術向上のために、雇用主が負担して政府に納める徴収金です(CPFと異なり、従業員負担はありません)。具体的には、従業員の研修費用の助成や失業者の再教育などに利用されています。注意しなければならないのは、CPFと異なり、外国人を雇用している場合であっても負担が必要である点です。EPビザ保持者が1人で会社を経営している個人事業主のような場合であってもSDLを納付しなければなりません。
SDLの対象は月額総報酬(給与に加えて、賞与やその他の手当てを含む)となり、料率は0.25%、納付期限は翌月14日となっています。納付額は最低SGD2、最高SGD11.25です。つまり、月額報酬額がSGD800以下の従業員の場合には、SDLは一律SGD2となり、その後、報酬額に応じて徴収金も増額しますが、報酬額が月SGD4,500以上の場合はSGD11.25で頭打ちとなります。また実際の納付にあったては、全従業員のSDL納付合計額のSGD1未満は切り捨てになります。
対象は従業員全てであり、外国人やパート社員も含まれます。ただし、学生ビザ保持者を雇用している場合、一定の条件を満たす際にはSDL免除対象となります。詳細はこちらのリンクでご確認ください。
徴収は中央積立基金(CPF)庁が代行して行っており、CPFと合わせてオンラインで納付が可能ですが、CPFの対象者がいない場合には、SkillsFuture Singapore Agency (SSG)のウェブサイトより直接支払うことになります。
CPF(Central Pension Fund, 中央年金基金)とは、シンガポール人と永住権(PR)保持者を対象としたシンガポールの強制積み立て個人年金制度となっており、CPFの対象となる賃金の合計が月額SGD50を越えると、積み立てが必要となります。ただし、シンガポール人や永住権保持者であっても、一定の条件を満たす学生の場合は対象となりません。(参照リンク)
CPF申告納付は、雇用主が従業員に支払った賃金に応じて行いますが、負担は雇用主及び従業員ともに負っており、55歳以下の従業員の場合、雇用主負担が17%,従業員負担が20%の合計37%となっています。従業員負担分は給与から源泉徴収し、会社負担分を上乗せして、申告納付することになります(ただし、賃金がSGD500以下の場合には従業員負担はありません)。
また、賃金は通常賃金(Ordinary Wages)と追加賃金(Additional Wages)に分けられます。通常賃金とは、毎月の就労のみに寄与するもので、月給に加えて、残業手当等も含まれます。CPF積み立ての対象となる通常賃金の上限はSGD6,000となっており、それを超えた金額に対する拠出は不要です(例:月給がSGD8,000の場合、SGD6,000がCPFの拠出対象で、SGD2,000は対象外となります)。追加賃金とは、賞与等が該当します。追加賃金に対するCPF積み立て対象の上限は、次の計算式によって決められています。
SGD102,000-CPFの拠出対象となる通常賃金の年間合計=追加賃金のCPF拠出対象上限
例えば、毎月の月給SGD6,000に加えて、SGD35,000の賞与を受け取った場合、SGD102,000-SGD6,000×12=SGD30,000の計算に基づき、賞与のうち、SGD30,000のみがCPF積み立て対象となり、残りのSGD5,000は対象外となります。
CPFの納付期限は、給与発生月の翌月14日であり、CPFのサイトよりオンラインで支払いをすることが出来ます。納付開始前には以下のサイトより、CSN(CPF Submission Number)というCPF申告用の会社アカウント取得が必要となります。アカウント開設完了後には、電子メール及び郵便で通知があります。
AWSとは Annual Wage Supplement略で、年間13か月分の給与支払いを保証する制度です。シンガポールでは慣習としてAWSを採用する企業が多く見られますが、法律で定められているものではなく、AWSの採用は企業側にとっての義務ではありません。
シンガポールでは、雇用法の対象となる従業員に対しては、給与明細(PaySlip)を給与支払と同じタイミング、もしくは、それが難しい場合には支払から3営業日以内に配布することが雇用主に義務付けられています。ソフトコピーでの配布も可能ですが、記載すべき内容は決められていますので、注意が必要です。PaySlipに記載すべき項目(2016年4月改正)については、下記のリンクからご確認ください。また、同サイトより、PaySlipの雛型を取得することが出来ます。
雇用主は、毎年3月1日までに従業員に対して、前年に支払った給与等の年間合計額を記載したIR8Aと呼ばれるフォームを発行する必要があります。従業員はこれに基づき、個人所得税の申告を行います。また、IR8Aに加えて、該当がある場合には、Appendix 8A(現物給付が発生している場合)、Appendix 8B(ストックオプションや従業員持ち株制度によって所得が発生している場合)及びForm IR8S(CPFの過払いがあった場合、CPFの払い戻しをした(する)場合)を発行する必要があります。
なお、紙ベースのIR8Aに代わって、AIS (Auto Inclusion Scheme)によって、電子的に報告することも可能です。一定人数以上(2021年の申告からは6名以上)の従業員を雇用している企業はAISの使用が義務付けられておりますが、それ以外の企業でも事前に登録することでAISを利用することは可能です。
シンガポールでは日本のような源泉徴収はなく、各個人が雇用主から受け取ったIR8Aに基づき、確定申告を行います。スケジュールとしては、3月1日までに雇用主から交付されるIR8Aに基づき、従業員は4月半ばまでに確定申告を行い、その後、賦課決定通知書(NOA, Notice of Assessment)を受領してから1か月以内に納付するという流れです。
申告はIRASのMyTaxPortalと呼ばれるサイトにて行いますが、ログインする際にはSingPassと呼ばれるIDが必要になりますので、あらかじめ取得しておくと良いでしょう(駐在員の場合、会社が委託している監査法人が代行申請することも多く、その場合、本人がログインする必要がない場合もあります)。
申告にあたっては、IR8Aに記載された年間給与等の合計を転記することに加え、各種控除項目があった場合には金額を記載します。控除の例としては、配偶者扶養控除、16歳以下の子供扶養控除、住み込みのメイド雇用の控除や寄付控除等があげられます。
シンガポール人もしくは永住権(PR)保持者であれば、アルバイトとして雇用することが可能です。
一方、上記以外の外国人を雇用したい場合には、それがアルバイトや短期間の仕事であっても、就労ビザが必要となります(詳細については“ビザ取得編”をご参照ください)。ただし、就労ビザがなくとも、学生ビザ保持者の場合には、一定の条件を満たす限りにおいて、就労が可能になります。
以下をすべて満たしている場合、学校の休暇期間中の就労が可能となります。就労前にMOMに通知する必要もありません。ただし、交換留学生の就労は認められていません。
就労開始後であっても学生ビザが失効した後は、就労を続けるためには別途ビザ取得が必要になります。
以下をすべて満たしている場合、学校の学期中でも就労が可能となります。ただし、交換留学生の就労は認められていません。
さらに、以下どちらかを満たす必要があります。
※1と※2のリストはこちらのサイトをご参照ください。
※2のリストは※1のリストよりも少数の教育機関のみとなります
シンガポールでは、日本のような正規雇用、非正規雇用という概念はなく、週に35時間以上就労する場合はフルタイム社員、週35時間に満たない就労である場合には、パートタイム社員と区別されるのみです。パートタイム社員であっても、SDL及びCPFの対象となります(詳細については設問2及び3をご参照ください)。また、パートタイム社員も、3ヶ月以上勤務することで、有給休暇、病気休暇、産前産後休暇、育児休暇等を取得することが出来ます。日数については、就労時間に応じて決められます(同様の仕事をしているフルタイム社員の年間就労時間を分母、パートタイム社員の年間就労時間を分子として計算)。
取締役であってもEP保持者である場合は、他社の取締役に就任する前に人材資源省(MOM)からの承認を得る必要があります。EPはあくまでもEPのスポンサーである会社(EP 発給申請者)で働くことを目的に発給された就労ビザになるため、他社での就労を希望する場合には事前の承認が必要となってくるものです。
取締役兼務はセカンダリーダイレクターシップと呼ばれ、EPのスポンサー会社ではなく、新しく取締役に就任する予定の会社が申請を行います。MOMのウェブサイトよりオンラインで申請を行い、許可されれば、LOC(Letter of Consent)が発行されますので、取締役兼務が可能になります。ただし、LOCは紐づけされているEPが失効すると自動的に失効しますので、もうひとつの会社での就労を続けたい場合には、新たにEP取得しない限り、違法となります。
MOMのサイトによると、LOCが承認されるのは、EPスポンサー会社と資本関係がある場合、もしくは、取締役兼務がEPとして雇用されている職務と関連ある場合と記載れています。申請の際には、取締役としての任命書(Appointment Letter)及びEPスポンサー会社とセカンダリーダイレクターシップ申請会社との関係を示す書類の提出が求められます。
MOMの申請はこちらのリンク先より行い、5週間以内に結果が出るとされています。
ACRA が管理する法律に基づき、すべてのシンガポール法人、変動資本会社 (VCC)、および有限責任パートナーシップ (LLP) は、所定の期限内に、年次報告書をACRA に提出する必要があります。 年次報告書の提出が遅れた企業、VCC、および LLP に対しては、提出遅延ペナルティが課せられます。
ACRA は、2021年4月30日から単純化された2段階のペナルティにより、年次提出の遅れに対するペナルティの枠組みを改訂しました。
2021年4月29日以前 | 2021年4月30日以降 | |
---|---|---|
シンガポール法人 |
S$300 |
3ヶ月以内はS$300 |
海外法人 |
S$50からS$350までの8段階の罰金 |
会社と取締役は、1967年会社法に基づく多くの法定義務を遵守する必要があります [例え、所定の時間内に年次総会(AGM)を開催すること]。これらの法定義務の中には、会社またはその取締役が一定の期間内に年次報告書 (AR)、登録された事務所住所の変更または取締役の辞任に関するACRAに通知を提出することを要求するものがあります。
遅延日数 | 延滞料(SGD) |
---|---|
30日以内 |
$50 |
31日〜60日の間(両日含む) |
$75 |
61日〜90日の間(両日含む) |
$100 |
91日〜180日の間(両日含む) |
$150 |
181日〜365日の間(両日含む) |
$200 |
366日〜730日の間(両日含む) |
$250 |
731日〜1095日の間(両日含む) |
$300 |
1096日以上 |
$350 |
ABC Company Private Limited は、2012年3月15日に登録事務所を 123 Yarra Road Singapore 123456 から 987 Aroozoo Lane Singapore 987654 に変更しました。
1967 年会社法の第 143 条 (1) に基づいて、会社の登録事務所の住所に変更がある場合、変更後 14 日以内に BizFile を介してオンラインで所定のフォームを提出しなければならなりません。
同社は 2012年5月23日に BizFile を介してオンラインで所定のフォームを提出しました。会社に課せられる延滞料は次のとおりです。
締め切り | 3月29日 |
---|---|
期間 | 3月30日〜5月23日 |
遅延日数 | 31日〜60日の間 |
遅延料(SGD) | $75 |
ABC Company Private Limited の David Tanは 2012年6月20日に取締役を辞任しました。同社は同日付で別の取締役に Justin Limを就任しました。
1967年会社法の第173A(1)(b)に基づいて、変更後 14 日以内に取締役の辞任と就任の通知をRegistrar に提出する必要があります。
会社は、2012年9月13日に BizFileを介して所定のフォームをオンラインで提出しました。会社に課せられる延滞料は次のとおりです。
締め切り | 7月4日 |
---|---|
期間 | 7月5日〜9月13日 |
遅延日数 | 61日〜90日の間 |
遅延料(SGD) | 取締役の辞任および就任ごとに$100 |
ABC LLP は、2012年3月15日に登録事務所を 123 Yarra Road Singapore 123456 から 987 Aroozoo Lane Singapore 987654 に変更しました。
2005年 LLP 法第34条に基づき、変更後 14 日以内に通知を提出する必要があります。
LLP は、2012年5月23日に BizFile を介して所定のフォームをオンラインで提出しました。LLP に課される延滞料は次のとおりです。
締め切り | 3月29日 |
---|---|
期間 | 3月30日〜5月23日 |
遅延日数 | 31日〜60日の間 |
遅延料(SGD) | $75 |
マネージャーである ABC LLP の David Tanは 2012 年 6 月 20 日に辞任し、Justin Lim は 2012 年 6 月 20 日にマネージャーとして LLP に就任しました。
2005 年 LLP 法第 34 条に基づき、変更後14 日以内にマネージャーの辞任と就任の通知を提出する必要があります。
LLP は、2012 年 9 月 30 日に BizFile を介して所定のフォームをオンラインで提出しました。LLP に課される延滞料は次のとおりです。
締め切り | 7月4日 |
---|---|
期間 | 7月5日〜9月30日 |
遅延日数 | 61日〜90日の間 |
遅延料(SGD) | マネージャーの辞任および就任ごとに$100 |
ABC LP は、2012 年 3 月 15 日に主たる事業所を 123 Yarra Road Singapore123456 から 987 Aroozoo Lane Singapore 987654 に変更しました。
2008 年 LP 法第 18 条に基づき、LP は変更後 14 日以内に通知を提出する必要があります。
LP は 2012 年 5 月 23 日に BizFile を介して所定のフォームをオンラインで提出しました。LP に課される延滞料は次のとおりです。
締め切り | 3月29日 |
---|---|
期間 | 3月30日〜5月23日 |
遅延日数 | 31日〜60日の間 |
遅延料(SGD) | $75 |
パートナーである ABC LP の David Tan は 2012 年 6 月 20 日に辞任し、Justin Limは 2012 年 6 月 20 日にパートナーとして LP に就任しました。
2008 年 LP 法第 18 条に基づき、LP は変更から 14 日以内にパートナーの辞任と就任の通知を提出する必要があります。
LP は 2012 年 9 月 30 日に BizFile を介して所定のフォームをオンラインで提出しました。LP に課される延滞料は次のとおりです。
締め切り | 7月4日 |
---|---|
期間 | 7月5日〜9月30日 |
遅延日数 | 61日〜90日の間 |
遅延料(SGD) | パートナーの辞任および就任ごとに$100 |
経済活動のグローバル化が進む中で、海外の金融機関等を通じた脱税及び租税回避が、国際的な問題となっています。自国の税務当局が情報を得にくい国外において、金融機関に口座を開いて金融資産を保有することで、課税を避けようとする動きが後を絶たないためです。このような背景の下、各国の税務当局が公平に税金を徴取し、税務の透明性を確保するためには、国内だけでなく国外にある金融口座情報も適切に入手する必要が生じています。この状況に対応するために、経済協力開発機構(OECD)は、「非居住者に係る金融口座情報の自動的交換のための報告制度(AEOI, Automatic Exchange of Information)」を策定しました。その際に用いられる国際基準がCRS(Common Reporting standard)であり、日本語では「共通報告基準」と呼ばれています。交換される情報は、口座保有者名、住所、居住国、口座に係る収益や残高であり、これはCRS情報と呼ばれています。
CRSに従った金融口座情報の自動的交換制度の下では、各国の金融機関は、管理する口座の中に税務上の非居住者口座があった場合、その口座の情報を自国の税務当局に報告する義務があります。報告を受けた税務当局は、その納税者の居住国がAEOIの参加国であり、かつ「権限のある当局間合意」があった場合、当該国の税務当局に口座情報を年次ベースで共通のフォーマットを用いて報告します。つまり、AEOIの参加国のうち事前に合意した国同士で、居住者の口座情報を毎年自動的に交換するのです。シンガポールと日本を例にとれば、シンガポールの内国歳入庁(IRAS)は、管轄する金融機関から、シンガポール以外を税務上の居住地とする者の口座情報を受け取り、その中に日本居住者の口座があった場合、年に1度のタイミングで、日本の国税局に情報を報告します。同時に、日本の金融機関にシンガポール居住者の口座があった場合、その情報を受け取ります。
重要なのは、情報共有が年次の自動交換となっている点です。これまでも、各国の租税条約に基づき、相手国から情報を受け取ることは可能でしたが、あくまでも個別案件ベースでした(個別の納税者についての情報提供を相手国に要請する、もしくは、相手国が有効と考えられる情報を自発的に提供する)。一方、AEOIは年次の定期交換であり、相手国にある自国民の口座情報を、金額の多寡にかかわらず、一括して入手出来るようになりました。これは、得られる情報が質及び量の両方の面で向上したと言えます。また、CRSと呼ばれる共通フォーマットを採用したことで、各国の事務負担が軽減され、効率的な情報交換が可能となりました。
これまでに、日本、シンガポール及び香港を含む100以上の国及び地域がAEOIに参加しています。日本では、2018年に情報交換を開始し、初回の情報交換においては、国税庁は日本居住者に係る金融口座情報55万件を64か国・地域から、2回目となる2019年においては約189万件の情報を85か国・地域から受領しています。タイについては、2020年時点では自動交換を開始していませんが、OECDウェブサイトには、2023年までに開始することを目指しているとの記載があります。
ここで注目すべきは、報告対象となる金融口座は、口座保有者の国籍ではなく税務上の居住地によって特定される点です。つまり、日本人の口座だからという理由で、国外の税務当局を通じて、日本に口座情報が報告されるわけではなく、納税上の居住地が日本と登録されている場合に報告対象となります。タイの場合、国家が運営する特権付きのメンバークラブである「タイランド・エリート」を購入することで、移住し、タイ居住者となることが可能です。シンガポールの場合には、移住ビザやリタイヤメントビザはありませんが、法人を設立して、同法人から就労ビザの発給を受けることで、家族とともに移住する方法があります。幣事務所は、「タイランド・エリート」販売の正規代理店であり、またシンガポールでも多くの移住サポート実績がございます。詳細については個別にお問い合わせください。
シンガポールでは、ほぼ全ての政府関連手続きがオンライン化されており、200以上の政府関連のオンラインサービスがあります。法人の場合の利用例としては、法人税の申告や、会社の登記内容(取締役、株主、資本金、住所等)の変更、従業員を雇用する際のビザの申請や、CPFの申告などが挙げられます。これらのサービスを利用する際に必要なオンラインアカウントがCorpPassとなります。
従前は、法人の手続きに関しても担当者個人のSingPassを使ってログインしていましたが、CorpPass導入により法人としてのアクセスが一括管理出来るようになりました。
CorpPassには3段階のアクセス権限があります。
BizFile上の、取締役及び秘書役が該当し、②に記載するアドミニストレーターの追加や削除を行います。RO自身が、アドミニストレーターとなってCorpPassを利用しても、他者をアドミニストレーターに任命して本人は利用しなくても、どちらも可能です。
CorpPassアドミンは、レジスタードオフィサー(RO)より任命され、当該法人のCorpPassを管理します。自らが全ての業務を行うことが出来るのに加えて、他の従業員やエージェントが、当該法人名義で政府のオンラインサービスを利用できるように、③に記載するユーザーの追加・削除を行うことが出来ます。アドミニストレーターは個人としてSingPassを保有している必要があります。
ユーザーは、アドミニストレーターからアクセス権限を付与された特定のサービスのみについて、会社名義でアクセスすることができます。ユーザーは個人としてSingPassを保有している必要があります。
CorpPassの登録方法は下記の通りです。
CorpPassのサイトよりRO自身をアドミンとして登録
上記CorpPassのサイトより、アドミニストレーターを登録
↓
ROが承認
↓
アドミニストレーター以外もCorpPassを利用したい場合、上記サイトよりユーザーを設定
↓
ユーザー毎にアクセスを認めるサービスを決定し、アクセス権限を付与
シンガポールでは、ほぼ全ての政府関連手続きがオンライン化されています。このオンラインサービスのうち、個人に関連する手続きを行う際のアカウントをSingPassと呼びます。具体的な利用例としては、所得税の申告や住み込みメイド雇用の際の手続き等が挙げられます。
SingPassは、シンガポール国民や永住権保持者(PR)でなくとも、EP、Sパス、DP、LTVP Plus(Long Term Visit Passのうち、シンガポール国民もしくはPRの配偶者)等の保持者も取得が可能です。SingPassの利用が見込まれる場合には、あらかじめ取得しておくことが良いでしょう。一方、仕事をしていないDP保持者の場合等は、利用する機会もないため、取得していないケースが多い状況です(SingPass取得は義務ではありません)。
申請に必要なのは①ID番号(NRICもしくはFIN)、➁SMSが受け取れる携帯電話番号、③書類が受け取れる住所になります。
取得にあたっては、オンラインもしくは直接カウンターに訪問する方法があります。
ウェブサイトより、必要情報を入力して登録を終えると、5営業日ほどで登録住所にパスワードが記載されたレターが郵送されます。そのパスワードでログインし、新しいパスワードを再設定すれば、登録完了となります。
パスポート、IDカード及び携帯電を持参することで、その場で発行されます。
厳格なセキュリティ管理を目指すために、SingPassによるログイン時には、2段階認証が導入されており、2016年7月からはこの2段階認証を設定していない場合にはアクセスが出来なくなっています。第1段階目として、SingPassのパスワードを入力し、次に2段階目として、事前に登録した携帯電話番号にSMSで送信されるパスワード、もしくはトークンより取得したパスワードを入力します。
ただし、このうちトークンによる2段階認証については、2021年4月に廃止されることが決まっています。一方で、利用が推奨されているのが、2018年に導入されたSingPassの携帯アプリであり、指紋や顔認証、もしくはパスワードの入力によって個人認証されます。PC端末でログインする場合には、QRコードを用いて認証されます。